イヤイヤ期を通して子供は自分の意思表示の仕方を身につけていきます。
1歳半をすぎると、親の言うことに対して何でも「いや!」と抵抗をするようになります。
そのため、子供への対応に頭を悩ませる方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は、「イヤイヤ期」が子供の自我の発達にどのように影響しているのかを見ていきたいと思います。
イヤイヤ期や魔の2才児という言葉は、心理学では「第一反抗期」と呼ばれています。1歳~2歳にかけては、気に入らないことがあると座り込んだり、大声で泣き叫んだりするようになります。2歳~3歳では、身体の発達と相まって、人を叩いたり蹴ったり、ものを投げたり壊したりする行動が現れます。また、4歳~5歳にかけては、言葉の発達と共に、親に対して、口答えをする、罵声を浴びせたりするというような行動も観察されるようになります。基本的には5歳(4歳)以降は収まってくると言われています(個人差があります)。
どの子供もこのような反抗行動が大なり小なり現れるものですが、その程度はその後の性格にどのように影響をするのでしょうか?
ドイツの心理学者のヘッツァーによると、第一反抗期の間に強い反抗を示した幼児100人と、反抗を示さなかった100人を比べたところ、青年期での意思の強さに違いが見られました。強い反抗を示した幼児100人のうち84人が、しっかりと自分の意思を持ち、自分で判断ができるように育ったのに対して、反抗期が無かった場合は100人のうちの16人しかその傾向が見られませんでした。
保護者にとっては、反抗期は手がかかって対応が大変な時かもしれませんが、子供にとっては、自分の意思を伝える練習ができる貴重な時なのです。
【まとめ】
子供は親との対立の中で自我を形成して行きます。子供が「イヤ」というのは、自分の意思をしっかり持つための準備だということを理解し、暖かく見守ってあげることも大切です。
【引用・参考文献】
山下俊朗(1971)「幼児心理学」S.49, 朝倉書店p264-266